Independent Consultant – フリーコンサルタントの実態

フリーコンサルタントの実態 ~より充実したON&OFFを求めて、コンサルティングファームから独立して個人事業主として働く(2021年版)

フリーコンサルタントの確定申告と税務関係スケジュール

   

今年もやってまいりました。確定申告の季節です。巷では国税庁長官が云々などと話題になっていますが、長官が誰であろうとやるべきことはやらねばなりません。面倒ですががんばりましょう。

さて、改めて。会社員として働いていると「税金は給与から天引きされていて自分でやることと言えば年末調整くらいだ」という人も少なくないと思いますが、個人事業主として独立すると税金は自分で確定申告して納めなければなりません。独立前は「確定申告ってどうやるんだろう?」などと少し身構えたりするものですが、実は確定申告の作業自体は今は便利なツール詳細は当記事の後ろの方で解説しています)もあり、その手順に沿ってやっていけば書類が出来上がりますので、それほど大変ではないと思います。コンサルティング業は基本的に仕入れなども発生しないですからね。

作業内容がカンタンだとするならば気にすべきことは作業期日です。ここでは、フリーコンサルタントがおさえておくべき税務関係のスケジュールを記載します。

※注意事項
以下は、平成29年現在、個人事業主としてコンサルティング業を営んでいる私はこうしていますという内容を記載していますが、税務は人によって、また自治体によって提出すべき書類や時期が異なる可能性があります。下記記事を参考にした結果、何らかの損害が発生したとしても当方は一切その責任を負いかねます。

毎年11月中旬頃:年末調整説明会が開かれる

自治体にもよるのでしょうが、私が住んでいる東京都某区では毎年10月になると、年末調整の説明会のお知らせが届きます。「個人事業主なのに年末調整?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、確かに、自分ひとりだけで個人事業を営んでいると年末調整は不要です。しかし、自分の家族を「青色事業専従者(※)」として申告していたら、その家族の給与から源泉徴収しなければならないケースがありますし、源泉徴収していたら、年末調整をして源泉徴収票を発行しなければなりません。要は、自分自身の年末調整をするのではなくて、自分のところの「青色事業専従者」という”従業員”の年末調整をするということです。
「説明会なんて行かなくても大丈夫だよ。あとでネットで調べれば」という方もいらっしゃるかもしれませんが、この説明会で源泉徴収票の用紙ももらえますので、都合がつく限り、特に独立し立ての頃は案内が来たら参加した方がいいでしょう。(「源泉徴収票」の用紙はWebでもダウンロードできます。なお、平成29年度(平成28年分)から用紙のフォーマットが変わり、サイズが大きくなりました。注意しましょう)

※青色申告する場合、自分の家族を青色事業専従者として申請しておくことでその人に給与を払うことができます。例えば、ご夫婦でカフェを経営する場合、わざわざ法人を立てず、旦那さんが個人事業主として経営者になり、その下で奥さんが青色事業専従者という形で従業員の形を取ることも多いです。詳細はググってみてください。

翌年1月末まで:税務署と市区町村役所に源泉徴収票等を提出

先にまとめて書きますと、下記が毎年1月31日まで(1月31日が土日の場合は翌営業日)に提出しなければならない書類と提出先です。

・管轄の税務署に提出:「給与所得の源泉徴収票」、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」
・自治体役所に提出:「給与支払報告書(総括表)」、「給与支払報告書(個人別明細書)」(同じものを2部)

ややこしい帳票ばかりで滅入りますが、例えば自分の奥さんだけを青色事業専従者として申告している場合はそれほど大変ではありません。私は初めてこれを作った時は色々調べながらではありましたが、2時間くらいでできました。一度やってしまえばその翌年からは1時間足らずでできると思います。
まず、税務署に提出する「給与所得の源泉徴収票」と自治体役所に提出する「給与支払報告書(個人別明細書)」はほぼ同じものです。自治体によっては、ホームページから「給与支払報告書(個人別明細書)」をPDFとExcelの2種類でダウンロードできるようにしておいてくれているところがあり、そのExcelの方は「給与支払報告書(個人別明細書)」のセルに必要事項を入れていくと、同ファイル内の「給与所得の源泉徴収票」のしかるべき箇所にも自動的に記入内容が反映されていき、自治体提出用の「給与支払報告書(個人別明細書)を作っていたら、税務署提出用の「給与所得の源泉徴収票」もできた、となるところもあります。ありがたいですね。なお、自治体提出用の「給与支払報告書(個人別明細書)は同じものを2部提出する必要があり、税務署提出用の「給与所得の源泉徴収票」は写しを従業員本人に渡さなければなりません。つまり、

「給与所得の源泉徴収票」:税務署提出用1部 と 本人に渡す1部
「給与支払報告書(個人別明細書)」:役所に提出する2部
の計4部、内容が同じ帳票を作ることになります。先述の自治体ホームページにあるExcelフォーマットには、ひとつに入力すると他の3つも同時にできるようになっているものもあり、大変便利です。
この2つの帳票は、源泉徴収している従業員の数分、作る必要があります。自分の奥さんだけを青色事業専従者として申告している場合は1セットだけ、ですね。

税務署に提出する「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」と自治体に提出する「給与支払報告書(総括表)」は、従業員の数にかかわらず、1事業主で1枚ずつ作成します。「給与支払報告書(総括表)」は自治体によってフォーマットがまちまちのようですし、もしかしたら提出不要の自治体もあるかもしれません。一方「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」はフォーマットは全国共通で、かつ、OCR用紙(機械読み取り用紙)です。正式な用紙が手元になくとも、国税庁のHPからダウンロードしたものをカラー印刷すればそれに記入して提出すれば問題ないようです。

提出方法は税務署、自治体役所ともに郵送で問題ありません。

また、この1月末日の書類提出は、青色事業専従者も申告しておらず完全に自分一人で事業をしている場合は、源泉徴収している対象者がいないため、行う必要はありません。

※各帳票の用紙ダウンロードリンクは、新様式が出た際にリンク更新が追いつかない可能性があるため、あえて掲載していません。また、各帳票の記載方法も私は税務の専門家ではないため、かつ、私に当てはまったことが他の方にも当てはまらないケースもあり、混乱を招かないようにするためにも割愛しています。ご了承ください。

翌年2月15日頃~3月15日頃:確定申告

これは、青色事業専従者がいなくても個人事業主として事業を営んでいれば必ずしなければなりません。1月末に源泉徴収関係の書類を提出してホッとしたのもつかの間、あっという間に次の波がやってきます。確定申告の詳細については、そのやり方だけでまさに本が一冊書けてしまいますし、実際世の中にはその類の本がたくさん出ていますので、そちらにおまかせします。

1点だけ、他の記事でも書きましたが、私は個人事業主として独立して以来ずっと「やよいの青色申告オンライン」を使って確定申告しています。「やよいの青色申告オンライン」自体は初年度(確定申告書を一回作るまで)は無料で使うことができて、2年目以降は年間8,000円(税抜)の利用料がかかります。最初は「2年目から8,000円かー…」と思ったこともありましたが、1回使ってみてその便利さの虜になりました。今や欠かせないツールです。(回し者のような書きっぷりでスミマセン。ですが、私は本当にこれに助けられています)


確定申告、個人事業主の皆さん、ともにがんばりましょう!

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