Independent Consultant – フリーコンサルタントの実態

フリーコンサルタントの実態 ~より充実したON&OFFを求めて、コンサルティングファームから独立して個人事業主として働く(2021年版)

フリーコンサルタントは甘くない

   

この記事では当サイトの基本スタンスについてお話しします。

こういったサイトを運営しているとややもすると、私が、さも

「フリーコンサルタントとして働くの、オススメだよ。ファームで大変な思いをしている人も独立するといいよ。こっちにおいでよ」

という風な、フリーコンサルタントとしての働き方推進論者であるかのように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは誤解です

むしろその逆で、伝えたいことは読んでそのまま、タイトルの通りなのですが、

フリーコンサルタントは甘くない

ということです。
当サイトでその厳しさを伝えることで、生半可な気持ちで独立を考えているのであればその考えを改めていただきたい、本質的な力がないのに「コンサルタント」を”自称”する輩を一人でも減らしたいというのが本心です。

それは、私もそのひとりである「フリーコンサルタント」のイメージを悪くしないためにも、クライアント企業のためにも、そして何よりご本人のためにも。

実はときどき、私のところにも相談があります。かつて一緒に働いたことのある方から

「仕事を辞めました。次はNさん(=私)のようにフリーコンサルタントとして働くことを考えているのですが、相談に乗ってもらえませんか/お仕事を紹介してもらえませんか」

など。私は都度、その人を見て判断していますが、残念ながらこれまで私のところにそういった相談に来た人に対し、それこそお付き合い自体は長きに渡る人であっても、あるいはファームで同僚だった人に対しても

「残念ながら向いてないと思いますよ。あなたの力や考え方では食べていけないと思います」

とお伝えしたことが何度かあります。何度かあるどころか、正直そういうケースの方が多いです。

そのように言われた方はムッとしたかもしれませんが、その前に私の方がムッとしています。というのもそういった方に限って

「フリーでやってる人ってたくさんいるみたいだし、自分の周りでもNさんがやってるし、だったら自分にもできるんじゃないか」

というように、明らかに個人でやることを甘く見ている姿勢が透けて見えるからです。

中には、どこの会社に勤めても半年と持たなかった人が離職後すぐに「仕事ないですか」と連絡をくれたこともありました。その人は”一応”、名の通った外資系ファームに在籍していた経験があったので(ただし、新卒後のごく短い間だけです。”一応”というのはそういう意味です)、また面識のある私の働き方を知っていたということもあって、この選択肢を思い浮かべたのだと思いますが、こちらとしては

「いやいや、あなたのような忍耐力のない人にコンサルが務まるわけないでしょ」

という思いです(実際、面と向かってそうは言いませんでしたが)。現に、新卒で入社した外資ファームを短期間でやめていますので、皮肉なことに、これがその人がコンサルタントとしてやっていけないことの証明になっています。コンサルファームに入社できただけではポジティブな要素になり得ず、問題は、ファームでどのくらい成果を上げられたか、そこはUp or Outの世界ですので、つまり、相応の期間勤めることができたかです。
この人のような

会社員として上手く行かなかった人でもフリーコンサルタントだったらやっていけるんじゃないか

というのは見当違いも甚だしく、正しくは

会社員として相応の成果を残した人、もしくはコンサルファームに相応の期間在籍し、そこで、きちんと成果を出せた人しかフリーコンサルタントとしてはやっていけない

です。フリーコンサルタントという働き方やその難度の捉え方が、あるべきものと真逆なのです。

考えるまでもないことですが、クライアント企業は自社の製品/サービスや業務、顧客、市場、競合の動向に詳しい自社社員をもってしてもどうにもできない時に外部のコンサルタントを頼りにします。そんなポジションが、会社員として長く続かないような人につとまるわけがないでしょう。

しかし、昨今「フリーコンサルタント 案件」などでググるとヒットするフリーコンサルタント向けの案件紹介会社の中には、自分のところの登録コンサルタントは一人でも多い方がビジネスの拡大には寄与するという事情も多分にあるのでしょう、そういった方をも「コンサルタント」として登録を受け入れ、ろくに自分のところで精査もせずにクライアント企業に紹介することもあるようです。
下記は、私が懇意にしている企業の役員から伺った話です。

「またNさんみたいな人に入ってほしくて、でもNさんは今は仕事を受けられないって言うから◯◯っていう、フリーコンサルタントを紹介してくれる会社に頼んでみたんだよ。そしたら、なんと、そこの社長がうちへのコンサルタント紹介を直々に担当してくれることになってさ、まあウチも上場しているし、気合い入れてやってくれるんだろうなと思ったわけ。そして社長が『候補者です』って言って、面談に連れてきてくれたんだけど…よくもまああんな人を紹介するよね。その候補者に対しては『あなた、よく独立してやっていけると思いましたね』と思ったし、社長に対しても『よくそんな人連れてこれましたね、ウチのこと、なめてます?』って思った」

「あと決定的に『ダメだな、この会社』って思ったのが、その社長もたぶん、その面談の場で候補者の人と初めて会ったっぽいんだよ。ウチのオフィスの近くで5分前とかに待ち合わせて、そしてすぐ来た、みたいな。もうぜんぜん、人を紹介するということに対して責任を持っていないということだよね。『たくさん紹介したら、そのうち一人くらい入って、うちのビジネスになるでしょ』くらいにしか思っていないっていうことじゃないかな。あれは本当に時間の無駄だった。もう二度とあそこには頼まない

結局、そんな

“自称コンサルタント”に「コンサルタント」の看板をかぶせて売り込もうとしたところで、「ビジネスになる」どころか、ネガティブな印象しか残さない

のです。

このようなことがまかり通り、また、淘汰されるべき”自称コンサルタント”が「コンサルタント」を名乗って活動していると、本当に力のあるコンサルタントを含めたフリーコンサルタントのイメージまで毀損され、それは非常に迷惑です。
無論、力のあるフリーコンサルタントはそういったマクロな印象が悪化した程度では自身の案件獲得や遂行が揺らぐこともないのですが、現在起こりつつある”猫も杓子も”状態は、上述のクライアント役員の発言にあったように、クライアント企業の時間を空費させるという観点からもやはり好ましくありません。
もう一度、書きます。

フリーコンサルタントは甘くない

我々を頼ってくださるクライアントのためにも、生半可なSkillとWillでこの世界に踏み出すことはご遠慮願いたいですし、案件紹介会社様におかれましても、そういった方を安易に受け入れない、またクライアント企業に紹介しないようお願い申し上げます。

「フリーコンサルは当たり外れが大きい」程度ならまだしも「フリーコンサルはハズレが多い、使わない方がいい」という話になってくると、それはこの世界自体の先細りに繋がりかねませんので。

お読みいただき、ありがとうございました。


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