Independent Consultant – フリーコンサルタントの実態

フリーコンサルタントの実態 ~より充実したON&OFFを求めて、コンサルティングファームから独立して個人事業主として働く(2021年版)

独立コンサルタントを辞めて会社員に戻るとき

   

この記事は、これまでの他の記事とは違ってちょっと後ろ向きに見えるタイトルになっていますが、これからコンサルティングファームを辞めて独立してやっていこうと考えている方にとっても、先達がどういう考えでそのキャリアを歩むことにしたのかは知っておくに越したことはないと思い、あえて書いてみることにしました。

以下はコンサルティングファームへの転職&コンサルティングファームからの転職を多く手がけている転職エージェントの方に伺った話です。まず、

コンサルタントとして独立してやってきたけど、やっぱりどこかの会社の正社員になりたくなったという人は、決して少なくない

とのことです。そういう人の再就職は何人も支援してきた、と言っていました。
彼らがなぜそういう考えに至ったかといえば、その方曰く、大きく以下の3つだそうです。

1.独立コンサルタントとして仕事が取れずに食べていけなくなった。
2.一人でやっていてさみしくなった。仲間が欲しくなった。組織をマネジメントするということをしたくなった。
3.成長している実感が乏しくなった。

以下、このひとつひとつについて見てみましょう。

1.独立コンサルタントとして仕事が取れずに食べていけなくなった。

やむを得ない事情ですね。独立して仕事が取れないのであれば安定した正社員に戻る、という選択肢を考えるのは必然です。ひとつ付け加えておきたいのは、あくまでもその転職エージェントの方が言っていたことではありますが、この「食べていけなくなったから正社員に戻りたいです」という人は独立コンサルタントから正社員に戻ろうとしている人の中ではもっとも少数派だそうです。正社員に戻りたい、という人の多くは2.ないしは3.を理由としておっしゃる方が多い、とのことでした。
もちろん、実情は「食っていけなくなった」ということであってもそれを自ら言うのは憚られるでしょうから、表向きは、そうは言わずに2.や3.という言い方をした、という人もいるのだとは思います。

2.一人でやっていてもさみしい。仲間が欲しくなった。組織をマネジメントするということをしたくなった。

これは、個人事業主として独立コンサルタントを営んでいる私自身、理解できる気持ちです。特にコンサルティングファームからすぐに独立したわけではなく、間に事業会社での経験をお持ちの方であれば尚更だと思います。
ファームにいた時は、ファームによってコンサルタントどうしの連帯感には差はあるでしょうが、担当案件のプロジェクトチームとは別に自社に帰れば”仲間”がいましたよね。また、事業会社にいた方は、少なくとも半年や1年でコロコロ変わったりすることのない、部下がいて上司がいて同僚がいて、という所属組織があったと思います。

個人事業主としてやっていても、担当案件においてはクライアントのメンバーを含めチームを組んで動くことが多いと思いますので、決して一人で仕事をしているというわけではないのですが、それでもやはりどこかに”孤独感”はあるように感じます。帰る場所が無い、と言ったらいいのでしょうか。事業会社にいたこともある私は、かつて部下の育成に頭を悩ませていた頃が懐かしくさえあります。あの時は本当に大変だったにもかかわらず、です。

ただ、だからといって正社員に戻るかといえば、そこはひとつまだ他のやり方があると思っていまして、具体的に何かと言われれば、

気の合う仲間で会社/事務所を設立する

です。実際、名のあるコンサルティングファーム出身者が数名で設立したコンサルティング会社は今やたくさん出てきています。これが可能であれば、独立性を確保しながらなおかつ仲間もいる、という環境が整えられます。”孤独感”の解消の手段として私が考えるとしたら、正社員に戻るよりもまずはこっちかと思っています。

3.成長している実感が乏しくなった。

これは私は2.ほど共感はしていません。「気をつけないとそうなってしまうかもしれないな」とは思いますが、裏を返せば「気をつければそうはならないだろう」と思っているということです。

こういった理由で正社員に戻るという決断をした方は、おそらく、自分が確実にできる仕事しか受けてこなかったのだろうと思います。コンサルティングファームに所属していても結果が出なければUp or Outという話はあるものの、それとて独立コンサルタントが置かれる「クライアントとの契約がなければ、収入が即ゼロになる」という環境とは厳しさの度合いが全く異なるでしょう。ファームに所属していたとしてもさすがに「どうせ失敗しても給与は毎月入ってくるんだから難しいことも思い切ってやろう」という思考にはならないでしょうが、やはり失敗すると収入ゼロになるおそれがある独立コンサルタントは、そこを担保しようということで、「できること」さらに言えば「やったことがあること」だけを選んでやっていくという思考に陥ってしまう気持ちはわからなくはありません。

ただ、個人的にはそういったリスクヘッジはしたくないですね。収入だけは確保できても、もっと大切な達成感ややり甲斐が欠けている働き方になってしまうように思いますし、それは結局「なんで独立したんだっけ?」という根本を自問することに繋がりかねないですからね。

独立コンサルタントであっても、手がける案件次第で、成長の実感を得続けることは私は十分可能だと思っていますし、現に私自身、ファーム時代は手がけたことのなかった業界やテーマについて、独立後にあえて取り組み幅を広げる努力をしています。

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