Independent Consultant – フリーコンサルタントの実態

フリーコンサルタントの実態 ~より充実したON&OFFを求めて、コンサルティングファームから独立して個人事業主として働く(2021年版)

深夜タクシー代はクライアントに請求できるか

   

個人事業主として企業から業務委託で仕事をいただいていると、当然のことながらいただくフィーは「給与」ではなく「業務委託費」という報酬になります。会社員の時は「給与」とは別に、日々の通勤にかかる電車賃(交通費)をもらえたでしょうし、仕事が深夜に及び終電がなくなった時にはそのタクシー代金を経費として会社に請求できたと思います。また、コンサルティングファームに勤めていた方であれば、案件に関係する書籍・資料を購入した際はそれも経費にできたこともあったでしょう。

さて、フリーコンサルタントがもらう「業務委託費」には何をどこまで含むものなのでしょうか。例えば、深夜タクシー代は「業務委託費」とは別に、クライアントに請求できるものなのでしょうか。

その答えはもちろん案件によりけりですし、「これは別途請求させてほしい」というものがあればそれは契約時に交渉すればいいのですが、ここでは、私の経験上、だいたいこういうことが多いです、というものを記載します。

・自宅⇔クライアントのオフィスの交通費(電車賃)
→これはコンサルティングフィーに含まれていることが通常です。別途請求したことは私はありません。

・終電後の深夜帰宅になった場合の深夜タクシー料金
→私はいつもコンサルティングフィーとは別で実費請求できるようにしています。もっとも、実際はファーム時代とは異なり深夜タクシーで帰宅することは激減したため、これで月に万とか行ったことはありません。

・出張旅費(交通費、宿代)
→私はこれはフィーとは別で実費請求することにしています。なお、「出張」の定義は事前に明確に定めておく必要があります。「1泊以上の宿泊を伴うもの。もしくは、日帰りであっても●km以上の移動を要するもの」などと定義することが多いです。なお、都内在住の人が地方常駐する案件などは「現地滞在費、現地との往復交通費もフィーに含む」となっているケースもあるため、注意が必要です。

・出張でも通勤でもない交通費
→表現がわかりにくく申し訳ないですが、ひとつは、クライアントが複数拠点を持っている場合がこれにあたります。本社とは別の場所に拠点がある場合など、普段は本社に常駐しているコンサルタントがミーティングのためにその拠点に移動するケースがあります。あるいは、ヒアリングやクライアントの取引先とのミーティングに同行する場合などもこれに該当します。もちろん日帰りですし、電車数駅ぶんの移動であることが大半です。
これは私は別途請求したことはありません。もしかしたら請求可能なのかもしれませんが「数百円だし…」とそこまで労力かけて請求したことがないのが実情です。

・通話費用、ネット費用
→クライアントとやり取りするための通話費用や、外でPCをネットに繋ぐためのポケットWiFi等の費用を別途請求したことは私はありません。ただし、Web関係の案件で、スマホ上で挙動を確認しなければならずパケットの大量消費が想定される場合などは事前にその点、相談しておくことはできると思います。もっとも、その場合は「自前のスマホ端末を使ってください。料金はお支払いします」となることよりも、端末ごと貸与されることの方が多いかと思います。

・案件遂行上必要な情報収集のための書籍代
→シンクタンクのレポートなど、数万~10万円以上するものはクライアントに購入してもらいますが、書店で手に入る書籍(せいぜい数千円)であれば、自腹で購入します。もちろん、クライアントが購入したものは自分の手元には置いておくことはできませんし、逆に自腹で購入した書籍は自宅の本棚に置いておくことができます。当たり前の話ですが。

・文房具等の購入費用
→あったとして数百円かと思いますが、これも私は別途請求したことはありません。ノート、ボールペンの芯、付箋紙等々、常に自腹ですね。もちろん、確定申告の際は経費としてつけています。

以上、思いつく限り挙げてみました。上記のうち、「クライアントに別途請求しない」としたものであっても、確定申告時には当然経費としてつけることができますので、何にいくら使ったか、領収書をとっておくのはもちろんのこと、きちんと記帳しておきましょう。

<関連書籍>国税局に10年勤務された元国税調査官 大村大次郎氏の著書です。氏曰く「一定の条件をクリアすれば、あらゆる領収書は経費で落とせるのです。その条件について、ご紹介するというのが、この本の趣旨です」。

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