Independent Consultant – フリーコンサルタントの実態

フリーコンサルタントの実態 ~より充実したON&OFFを求めて、コンサルティングファームから独立して個人事業主として働く(2021年版)

個人事業主が企業とコンサルティング契約を結べるのか

   

信用の話です。個人事業主は、税務署に開業届は出しているものの(参照記事:独立して最初にするのが望ましい手続き)、法人ではないという点でやはり法人に比べて信用が無いとみなされます。そして実際、企業の中には、一定の信用がある法人とでないと取引をしない、すなわち、コンサルティング案件も個人事業主には発注しない、という社内規程を設けているところがあります。資本金が○万円以上ある法人とでないと取引しない、というところさえあるほどです。そういう企業から個人事業主のフリーコンサルタントが仕事を請け負うことは、そのままでは不可能です。社内規程を反故にすることはできませんので。しかし、方法はあります。

それは、

個人事業主のフリーコンサルタントがコンサルティングファームや案件紹介会社などの法人と契約をした上で、その法人とクライアント企業とで契約をしてもらう

という方法です。これであれば、個人事業主には発注しないと言っている企業も、間に法人を挟むことで個人事業主と取引をすることができます。

このスキームは別に珍しいものではありません。むしろ案件紹介会社から紹介される案件は、このスキームで

個人事業主 ←【契約A】→ 案件紹介会社 ←【契約B】→ クライアント企業

という形で3社で契約することの方が通常です。

「案件紹介会社はマージンを抜くことを生業としている。それに対して抵抗感を持つ人もいるかもしれない」などとこちらの記事では書きましたが、個人事業主ではそもそも契約ができない先が多くあることを考えれば、フリーコンサルタントにとって、彼らは紹介業以上の存在価値があると言えます。


もちろん、個人事業主と直接契約を結べる企業もあります
私自身、案件紹介会社やコンサルティングファームのツテなどを使わずに自ら開拓した一部上場企業のクライアントと直接業務委託契約を交わして案件を遂行したこともあります。このように、自ら開拓したクライアントの案件で、かつ当該クライアントが個人事業主との契約が可能であれば、個人事業主がクライアントと直接契約することが可能です。
また、これはややイレギュラーかもしれませんが、自ら開拓したクライアント企業が個人事業主と直接契約できないケースというのも実際にはあります。これも私自身、経験があるのですが、せっかく案件紹介会社等を使わずに開拓し、先方の決裁者も「ぜひ、お願いしたい」と言ってくださっているにもかかわらず、そこの社内規程で個人事業主と契約することが認められていないというケースです。この時、私はどうしたかというと、懇意にしているコンサルティングファームに相談して、そこに間に入ってもらうことにしました。スキームとしては上述の場合と同様、下記のようになります。

私(個人事業主) ←【契約A】→ コンサルティングファーム ←【契約B】→ クライアント企業

この時、そのコンサルティングファームは、案件開拓にもまた案件遂行にも端的に申し上げて何ら貢献はしていなかったのですが、間に入ってくれたことの御礼の意味も込めて、私は多少マージンを抜いてもらうことにしていました。彼らとて、契約手続きに手を動かすわけですし、また、私が万が一、何かしでかしたら契約の対面に立っているのは彼ら、つまり案件遂行責任は契約上彼らにあることになっているので、そこをタダでというわけにはいかないでしょう。もちろん案件開拓をして案件紹介会社に抜かれるマージンよりは幅は小さいですが、それでもゼロにはしませんでした。

ここまで書いたように、「個人事業主が企業とコンサルティング契約を結べるのか」といった点について、先方の社内規程がハードルになることはあり得ますが、そのハードルは必ずしも超えられないものではないと思っています。重要なのは先方の決裁者に「うちは個人には発注できない決まりになっているんだけど、それでもあなたにお願いしたい。何か方法はないだろうか」と思ってもらうことです。本気でそう思ってもらえれば、道は探れますので、その意志の強さを引き出せるよう、本質的に自分の力を磨くことが重要だと考えます。


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