Independent Consultant – フリーコンサルタントの実態

フリーコンサルタントの実態 ~より充実したON&OFFを求めて、コンサルティングファームから独立して個人事業主として働く(2021年版)

フリーコンサルタントの仕事の取り方(その2:案件紹介サイトを使う)

   

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2. フリーコンサルタントへの案件紹介サイトを使って取る。

これを読まれている方が気にされているのは1よりもむしろこっちかと思います。コンサルタント向けの案件紹介サイトを使ったら、本当に仕事が来るのか

まず、そもそも「コンサルタント向け案件紹介サイト」とはですが、ざっと「独立コンサル」や「フリーコンサルタント 案件」等で検索するだけでもいくつかサイトがヒットします。Googleで見ると、検索結果上にそれらしい会社の広告も出てきますが、そこに載っているような会社がまさにそれですね。


私もこのようなサイトはいくつか使ったことがありますが、概ねいずれも以下のような流れになります。
※案件紹介サイトの人たちのことを「紹介会社」、案件の発注元(最終的にはクライアントになる)のことを「発注元」と記載します。

1)案件紹介サイト(Web)から自分の情報を登録する。
2)登録した情報を見た紹介会社から「一度会いましょう」と連絡が来る(メール or 電話)。
3)紹介会社と面談する。早ければその場で案件の提示も。
4)紹介会社から案件候補が提示される。
5)提示された候補の中に興味があるものがあれば、「やりたい」旨、紹介会社に伝える。
6)案件の発注元と面談。紹介会社が同席するケースもあり。
7)発注元がOKを出せば晴れて受注確定。仕事スタートです。

この流れの各ステップにおける注意点等は別途詳しく書きます。ここではその前段として、これら「紹介会社」を使う際の注意点について述べます。

1.「紹介会社」ってどういうビジネスモデル?

案件紹介会社のビジネスは、発注元とフリーコンサルタントの間に立って、フィーからマージンを取ることで成り立っています。フリーコンサルタントには基本的に毎月フィーの入金がありますが(フィーの入金タイミングの詳細については記事「独立コンサルタントの売上はいつ入金されるのか」を参照してください)、彼らは初回に紹介料として中抜きをするのではなく、毎月中抜きをするパターンが多いです。つまり、発注元が紹介会社に120万円を払ったら、そのうち20万円を紹介会社が手元に置いて、残り100万円がフリーコンサルタントに振り込まれるという形です。
紹介会社が”毎月”マージンを取ることに違和感を覚えることもいるかもしれませんが、紹介会社は何かトラブルが生じた際に間に立ったり、契約更新の段になった時にフィーを上げたり、稼働を調整したりといった交渉の窓口になってくれたりもするので、そういったマネジメント費用という位置付けとして理解するといいと思います。

※但し、紹介会社によって、そのマネジメントへの関与度合いは全く異なります。中には、本当に何にもしてくれないのにただ中抜きだけするところもあるとか無いとか…。



2.いい「紹介会社」の見分け方は?

「紹介会社」を成り立ち別に分けると、大きく以下の3つになります。

A.コンサル出身者が立ち上げたパターン
コンサルファーム出身者が自分のツテを活かして、案件紹介に特化したサービスを展開しているケース。

B.小さなコンサルティング会社が兼業で紹介業を行っているパターン
コンサルティング会社が自分のところに来た引合いに対応できるリソースが社内に無い場合(要は、自分たちの稼働率が高すぎて空いているコンサルタントがいない、という場合)にそれを社外の独立コンサルタントに回して、結果、案件紹介サービスになっているケース。

C.人材紹介会社(転職エージェント)の人たちが立ち上げたパターン
元々は転職エージェントだった人たちが、その時のクライアント企業から「正社員じゃなくていいんだけど、こういうプロジェクトを手がけられるプロを探している」というような依頼に応えるために、独立コンサルタントとそういった案件のマッチングを始めた、というケース。

このどれがいいのかは一概には言えませんが、やりやすさということで考えると、コンサルファーム出身の独立コンサルタントの方にとっては、そのへんの勝手がわかっているAやBがやはりやりやすいでしょう。そしてAとBで言うなら、Bの方が、彼ら自身も現在進行形でコンサルタントとして現場に関わっている分、こちらへの理解が早いように思います。要は親身になってくれる、というか。
もちろん、紹介会社によって差はあるでしょうし、私もすべての紹介会社と会ったことがあるかといえば全くそんなことはありません。上記はあくまでも参考程度にとどめてください。ただ、パッと見だとどこも同じに見えてしまいがちな中、それぞれの紹介会社の出自・成り立ちを気にしておくことは有効だと思います。

3.「紹介会社」を使えば仕事は取れるのか?

この答えは、もちろん「人によります」です。そして先に厳しい現実を書きますが、これは複数の紹介会社の方が口を揃えて言っていたことですが、

「我々の案件紹介サイトに登録してくる人の8割以上は、我々から見れば”自称コンサルタント”ですね。我々も発注元に変な人を紹介するわけにはいかないので、彼らには紹介できる仕事はありません」

と。彼らが何をもって”自称コンサルタント”と言っているのかは、結局は人を見て判断しているのだと思いますが、”自称”でないことを担保する材料のひとつとして、コンサルティングファームの在籍経験は間違いなく見られます。さらに付け加えるなら、在籍期間退職時のクラス(職位)も見られていると言っていいでしょう。名の通ったファームに在籍していたことがあって、かつ、紹介会社との面談時に変な印象を相手に与えない限りは、紹介会社から案件を紹介してもらえる可能性は高いと考えて差し支えないと思います。逆に言えば、ファームに在籍していた経験自体が無かったり、あっても半年で辞めていたりなど首を傾げるような形であれば、それだけでかなり不利でしょう。それは仮に、その人が事業会社でかなりの経験を積んでいたり(高い役職に就いていたり)、コンサルタントを使うようなプロジェクトにクライアント側の担当者としてアサインされていたことがあったとしても、です。「コンサルタントが(恐らく)経験するようなことを事業会社で経験してきた」や「コンサルタントと一緒に働いていた」というのは、本質的に「コンサルタントとして働いていた」とは別物と見られます。もちろん、無い経験を培え、というのは無理がありますが、いずれにしてもファーム在籍経験無しにそういった紹介会社を利用しようとしても、少なくとも面談で挽回できない限りは先方にとって「この人に案件を紹介しよう」と思ってもらえない可能性が高いことは念頭に置いておくべきです。

紹介会社から仕事を紹介してもらえたとしてもそれだけではまだ安心はできません。紹介会社がOKをしただけで案件に入れる(=受注が確定する)ケースはそれほど多くはなく、発注元のクライアントとの面談が組まれるのが通常です。この発注元との面談は、紹介会社との面談とは空気感がずいぶん異なることが多いです。というのは、紹介会社にしてみれば「独立コンサルタント」はある意味、”商材”なわけです。「この人がうちを経由してどこかの案件に入ってくれたら、その契約が続いている限りはマージンが入ってくる」という見方をしますので、基本的には友好姿勢です。平たく言えば「売上をもたらしてくれる、独立コンサルタント様」なわけです。

ところが、発注元のクライアントはそうではありません。彼らは、独立コンサルタントと契約することで出費が生じます。それも安くはない出費が。当然、面談では見る目も厳しくなりますし、質問も厳しいものが来る可能性があります。

コンサルティングファーム経験者でも、案件を自分で受注した経験が無く、デリバリー(受注した案件を回すこと)のみを行っていた人にとっては、この発注元との面談は初の経験になるかもしれません。「ファーム時代、お客さんと友好な関係を築くのは得意だったよ」という人も、受注後と受注前とでは先方のスタンスが異なることは理解しておく必要があります。受注後は、もうお金を払うことは決定済みなのでプロジェクトを円滑に進めるためにも友好な関係を築こうと先方も考えますが、受注前は「この人に高いフィーを払う価値があるか」を厳しく見定めに来る、ということです。

4.「紹介会社」経由で仕事が決まるのにどのくらいの時間がかかる?

セールスのリードタイムですが、早ければ紹介会社と会った翌週に発注元との面談が行われてその場で決まる、ということもあります。私もその経験がありますし、日数にするなら本当に1週間で、ということも十分あり得る世界です。

逆に言えば「あちこちの紹介会社に登録してみて1ヶ月が経つけど、まだ案件が決まる予感がない」という人は、私は正直、2ヶ月営業しても3ヶ月営業しても結果は同じだと思います(※1ヶ月経っていても、発注元との面談の結果待ち、などの手駒があれば別です。あくまでも「予感がない」人は厳しいということです)。紹介会社に「この人いい!」と思ってもらえれば、彼らは本当にスピーディーに動いてくれますので、上のような人には紹介会社がそういう温度感で接していない、ということでしょう。
無論、この話は景気にもよりますが、これを編集している2017年、コンサルティングファームが軒並み高稼働率を誇っている現時点においては上記の認識で間違いないと思います。

独立した時に何よりも厳しいのはまず「仕事が無い」という状況です。その状態が長く続くと、いっそ再就職を考えることもあると思いますし、その判断はできるだけ早い方がいいはずです。「独立コンサルタント」は万人にできる働き方ではないと思いますし、できない人にとっては無理に続けることは苦行でしかありませんので、本項はその判断を助けるためにも、あえて厳しい書き方をしました。

 - 営業

        

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