Independent Consultant – フリーコンサルタントの実態

フリーコンサルタントの実態 ~より充実したON&OFFを求めて、コンサルティングファームから独立して個人事業主として働く(2021年版)

フリーコンサルタントの仕事の取り方(その1:自分のツテを辿る)

   

フリーコンサルタントとして独立してみようと思った時にまず考えるのはここだと思います。

「仕事はちゃんと取れるのか。ちゃんとメシを食っていけるのか」

これについてはもちろん「その人次第」なのですが、それで片付けてしまってはこの記事の価値がありませんので、もう少し掘り下げてみようと思います。
まず、“フリーコンサルタントの仕事の取り方”について考えてみると、大きく以下の2つに分けられると思います。

1. 自分のツテで取る。
2. フリーコンサルタントへの案件紹介サイトを使って取る。

このそれぞれについて以下、考察します。

1. 自分のツテで取る。

これができる人はいいですね。過去のクライアントだったり、他人の紹介だったり。某コンサルティングファームではOB・OG内で案件情報メーリングリストが組まれていて「こういう案件で人が足りないんだけど、誰か動ける人いない?月単価は○万円で稼働100%で」といった情報が流れてくる、なんていう話も聞きます。こういったツテがあれば、それは独立コンサルタントとしてやっていく際に自分の食い扶持を担保する強力な材料になります。

ただ、これにも注意点はあります。まず、当然のことながら

「常に自分のツテの先に仕事があるわけではない」

ということ。大前研一さんのようなビッグネームは別でしょうが、「ツテがある」という人も常にそこから仕事がもらえるかといえば必ずしもそうではないと思います。このため「色んなところにツテがある。仕事は絶対にあるし、食いっぱぐれることはない」という人も、そのすべてのツテが同時にセールスリードとして意味を成さなくなる時のことは考えておく必要があるでしょう。

そしてもう1点。

「ファーム時代のクライアントを掴みに行くことに問題はないかどうか、よく考えた方がいい」

“ツテ”も、自分がコンサルティングファームに勤めていた時のクライアントであったりしなければそのファームとのしがらみもなくていいのでしょうが、ファーム時代のクライアントをそのファームに仁義を切ることなく掴みに行ってしまった場合、その元いたファームとの間で軋轢が生じないか、はよくよく考えた方がいいと思います。自分が所属していたファームに対する思いは人それぞれあるでしょうが、少なくとも、独立するのだとしたら、そのためのスキルや、今ここで論じているツテ(人脈)を培わせてくれた場所であることは間違いないでしょう。そのクライアントを横から掴むような真似をして本当に前職からの心象を悪くするといったことにならないかについては慎重になる必要があると私は考えます。
なぜかと言えば、あなたとそのファームの関係がよければ、あなたが独立したという話が彼らの耳に入ったら「この仕事、手伝ってくれない?」という形で前職から仕事が来る可能性がある、すなわち、前職もあなたのセールスリードになり得るから、です。あなたが前に勤めていたファームはあなたが何が得意か、何に強いかを知っているでしょうし、勝手を知っている仲間とは仕事がしやすいというのは事実だと思います。そんな関係性にヒビを入れるような真似をしてしまうのはどう考えても勿体無いと私は思うのです。

私は独立して最初の案件を別の方法(=「2. 独立コンサルタントへの案件紹介サイトを使って取る」)で獲った後、前勤めていたファームにはきちんと手土産を携えて挨拶に行きました。年賀状も以前よりきちんとやり取りするようになりましたし(そもそも今までがやや疎かになっていたことを恥ずべきなのですが)、その中で「今の案件が終わるのっていつ?」なんていうやり取りに至ったことも一度や二度ではありません。

一方、そのファームの先輩社員で、まだ在籍していた時からクライアントと握ってそのクライアントを掴んで退職・独立した人もいました。彼としては、ファームがクライアントに請求しているフィーと自分の手元に入ってくる給料の差分を圧縮して、クライアントにとってはより安いフィーで、自分はより高い報酬を、ということでそういう判断をしたのだと思いますが、その退職後は「あいつは客を掴んで逃げた。出入り禁止だ」などと酷い言われようでした。もちろん、OB/OG会にも来ていません。おそらく、招待状自体が送られていないのだと思います。

これを読んでいるのは、相応のコンサルティングファーム経験がお有りの方が多いと思います。厳しいこともあった中、独立できる力を蓄えるだけの期間、せっかく勤めた場所とそういう形で関係が悪化するのはあまりにももったいないです。このことから、独立後、ファーム時代のクライアントを自分のクライアントにする、ということについては私は慎重になるべきだと思いますし、仮にそれをやるのだとしても、仁義の切り方には気を使うことをお勧めします。

 - 営業

        

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